グルメガイド本「ミシュランガイド」掲載のフランス料理店(大阪市中央区)で調理師だった男性(当時33)が劇症型心筋炎を発症し、後に死亡したのは長時間労働が原因だとして、男性の妻ら遺族3人がオーナーシェフと当時の経営会社に約9800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。金地香枝裁判長は店側に計約8400万円の支払いを命じた。
同店は「ミシュランガイド京都・大阪2020」で、5千円以下で質の高い料理を出す「ビブグルマン」として紹介されている。
判決によると、男性は2009年6月ごろから店に勤務。11年11月からは午前8時~翌午前2時過ぎまで働くことが多く、時間外労働は月約250時間に上り、12年11月に劇症型心筋炎になって入院した。その後症状が悪化し、14年6月に脳出血で死亡した。
判決は、店は従業員の勤務時間の管理を全くしておらず、健康診断も受診させていなかったなどとして、従業員の健康を管理する注意義務違反があったのは明らかだと指摘。店側は「病気の発症と業務には因果関係がない」と主張していたが、金地裁判長は「過酷な長時間労働が症状を悪化させたことは否定しがたい」とした。
男性の妻は判決後、「主人も喜んでくれると思う。従業員を使い捨てるのではなく、もっと大事にしてほしかった」。オーナーシェフは代理人弁護士を通じて「死亡と過重労働との因果関係はないものと考えている」と述べた。(遠藤隆史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル